偕楽苑
実家で1泊する機会があった。
郷里の盛岡市は、車で30分圏内に温泉が百近く点在している。両親は週末、連れ立ってあちこちの温泉に通っているようで、僕が帰省しても、特段変わるわけでもなく温泉の話となる。
父「お前は、サウナが好きだったな」
わ「はい。」
母「帰りにユニクロに寄りたい」
わ「それは嫌だ」
・・・
行き先はわからないが、車に乗って出発する。
(年々降雪量は減少しているらしい。暇なので写真を。)
(基本的に、四方を山に囲まれた田舎。落ち着く)
(雫石川が凍結している。川向こうには岩手山が望めるはずだが、生憎の雲模様だった。)
父「ふるさと納税で、鶯宿温泉のどこかのホテルを貸切にできるらしい。」
母「ふーん」
父「100万円以上で」
母「げ」
わ「・・・(平和だ)」
靴を脱いで、入浴料600円を払う。浴室の広さは、大きめの銭湯くらい。久しぶりの温泉だ。大浴場の他に、露天風呂とサウナが。サウナが。あった・・・。
湯船と露天を行き来し、しっとり汗を掻く。サウナの扉を開けてみる。3〜4人が座ればいっぱいの、コンパクトなサウナだ。室温は85~90℃くらいかしら。湿度は低いけれども、ただただ静かで心地よい。
とりあえず五分砂時計2回分を堪能。サウナ室から退室し、水風呂を探すも・・・無し。(一応、手桶で掬えるように小さく水が溜めてある。)
正直なところ、水風呂が無いサウナは、餡子の入っていないどら焼きみたなもので(失礼)。だがここは岩手。外気はマイナス10度近い。
外に出て浴槽の縁に腰をかけると、身体から湯気がもくもくと沸き立つ。
からりと晴れていい天気だ。風もなく、木立が静かに佇んでいる。
視線を降ろすと、露天風呂の水面が揺れている。夕暮れ前の日差しが反射して綺麗だ。気持ちはどんどん嫋やかになってゆく。
水風呂が無くても、サウナって気持ちいいんだ。(まったくもってサウナってやつは、どこまで魅力的なんだ)