霧桜の湯 ドーミーイン鹿児島
先日出張で鹿児島市を訪問した。
ご飯が美味しくて景観もよく、歩いていて清々しい都市だった。
九州はほとんど縁が無かったが、2022年以降、公私ともに九州への用事が増えており、年末は初めての鹿児島訪問と相成った。
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宿泊サウナは、繁華街から少しだけ離れたドーミーインを選択。
ホテルニューニシノと迷ったが、あまりに繁華街の中にあるため、しこたま飲んで寝坊する確率が極めて高いことから断念した。
肝心のサウナは、ほかのドーミーインと品質が揃えてあるため安心。水風呂がチンチンに冷たく、温湯と水風呂の交互浴が癖になる。
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鹿児島に来たら、必ず訪ねたかったのは天文館むじゃきであった。
水曜どうでしょう「対決列島~甘いもの国盗り物語~」で大泉さんが疾走して買いに走ったしろくまを店で食べる。念願かなって感動だ。
思い切りかぶりついたが、まったく頭が痛くならない。天然氷だからか、ふわふわだからなのか。
半分ほど食べたところで寒くなっており、いまは真冬だったことを思い出す。
どうでしょうでちらっと映った店舗を撮り満足。暖を採るためサウナに向かった。
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もう一つ、鹿児島ではラーメンを食べてみたかった。時間の許す限り店を歩く。
小金太
とろ豚
のり一
総じて福岡のとんこつよりも優しくて、鹿児島ラーメンも大好きになった。
個人的にはのり一が一番美味しかった。というか、びっくりした。ほかのラーメンと比べてスープが透き通っているので「あっさり系か」と思いきや、とても奥深くて、しっかりとした味。東京でこういうの無いかな・・・
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飛行機の時間まで、市内を散歩する。
鹿児島市を歩いておもったが、庁舎が趣深い。
タクシーの運ちゃんに「鹿児島の建物は歴史があるものが多いですね」と聞いたら「薩摩ですからね」と一蹴された。これが、官軍か・・・と思いながら、賊軍は空港へ向かった。
鹿児島出張、増やせないかな。仕事がんばろ。
八丁堀 湊湯
最近は、決まった日常のなかに組み込まれた、同じサウナに通う日々を過ごしている。サウナに対して、かつてのような”ありがたみ”はかなり薄れた。
日々がルーチン化したことも要因なのだが、もう一つは体力の衰えだろう。サウナに入っても、温冷浴を楽しむほどの持久力は無い。身体と心の垢を落とすためだけに作業的に入っている(こなしている)。
限界リーマンらしいサウナの嗜み方にシフトしたが、これはこれで、サウナを味わう一つの方法なのだと思う。
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最近、八丁堀に通う用事が出来た。用事のあとにいつものサウナに向かうだけでは面白くないと思い、近辺のサウナに向かう。
八丁堀駅から5分ほど。ビルやマンションの立ち並ぶ道を歩くと、赤い看板が見えてきた。
湊湯は、現在のサウナブームが取沙汰され始めた時期に注目を浴びた銭湯だった。
注目を浴びた理由は、洗練されたデザインとしてリニューアルしたからだったと記憶している。銭湯がもつ瓦破風と煙突というイメージを打破する存在だったのだ。
入ってもらえば分かるが、壁の色や照明など、ほかにはない空気感を味わわせてくれる。そこに地元のおっちゃんたちが”銭湯らしい振舞い”で寛いでいることが、珍しいギャップを演出する。
要は、銭湯に入る人はあまり変わらず、箱が新しくなっている。こうして世代交代が進むのか知らん、と思ったりする。
一方自分は、この数年でサラリーマンよろしく(実際サラリーを貰える身分になったのだが)、時間に追われる生活に変化した。こうなってみて気づいたが、サウナは必ずしも必要ない。アツアツのお湯と、水風呂さえあれば8割方満足できるようだ。サウナ室でゆっくり過ごす時間が、贅沢な位置づけになってきてしまい、自身の矮小さに悲しくなる。
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都内に限った話だが、サウナ室は随分混むようになった。扉の前にサウナ待ちの裸行列ができることもあり、全くもって本末転倒である。サウナに入ることが、目的になってしまったなあと思う。
あんまり小難しいことを考えずに、裸で解放される時間を楽しもうぜ、と思うのだが、そも斯様な世の動きに一言添えたくなっている時点で、面倒くさいオジサンに着実に近づいている。従って最近は、サウナの話を振られてもニコニコするに限る。
前橋ゆ~ゆ
研究室の後輩が皆おしなべて僕より優秀だもんで、幸せなのですが。そのなかの群馬県出身、K子氏に尋ねたときのことです。
わ「前橋に行こうと思うのだけど。」
K子「え、前橋?なにしに行くんですか?」
わ「文学館に行こうと思って。」
K子「へえ・・・渋いっすね。先輩は何が好きなんですか?」
わ「え、サウナとか、落語か、な?」
K子「へえ・・・渋いっすね。」
これが ”話題の盛り上がらない趣味” というやつでしょう。訊いてくれたのに盛り上がらない非モテの悲哀、言うだけ傷つきます。
とどめの一言「前橋マジなんも無いっすよ。」を頂戴するも、オジサンは向かいます。
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まずは前橋駅前のサウナにイン。さすがは温泉の国、駅前のスーパー銭湯ゆ~ゆでも、ちゃんと温泉が湧き出ていました。
ドライサウナ・ミストサウナがあり、水風呂がサウナ前に設置されています。水風呂は19℃ほどでしょうか、あまり冷たくはありませんが、まずまず。
外気浴スペースも広大で、寝転がることもできます。内湯・外湯は温泉なので、湯船につかっているだけで体の温まり方がちがう気がする。
正直これだけで前橋に来た価値があるのですが、今宵は一泊。今回は萩原朔太郎の故郷を尋ねるために来ました。
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寝る前に前橋の夜を探索ということで、千代田町界隈をうろうろとします。千代田町は居酒屋や風俗が軒を連ねる一角で、キャッチの人たちが暇そうに煙草を吸うのみ。ほかに道を歩く人はいません。そこを私のような髭が死んだ目で歩いていたら良いカモなわけで。
この ”ザ・地方都市”感は嫌いではないのです。それにしても、誰ともすれ違わない。
夜9時。いいねえ。
広瀬川が市内を巡っていて、柳がポンポン植えられている。夏場はここを散歩するだけで涼し気なのだろう。
商店街の熱意が垣間見える、気合の入った休憩所。
「地方都市はこんなもんだよなあ」と思いながら煙草をひとつ喫み、座って休憩。掲示板を見ながら涼しんでいると、時たま歩く人々からの視線が痛い。
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30分ほど回り道して、朔太郎生家跡に到着。
高層マンションとなっていました。
朔太郎は悶々としていた20代、この場所から千代田町に歩いていくことが多かったそうです。飲み屋でくだを巻き、オネーチャンの店でウザ絡みをして追い出され、それでも晴れない憤懣を抱えて前橋市内を彷徨った。そんな朔太郎を、前橋市民は冷ややかに噂します。
このマンションの場所には朔太郎の生家、すなわち前橋で随一の病院が立っていました。朔太郎の父・密造は、前橋で名士と謳われた先生だったそうです。その息子が働きもせずにうろついていては、そりゃご近所さんは冷たい視線のひとつも投げかけたでしょう。
彼は後年このように語っています。
町へ行くときも、酒を飲むときも、女と遊ぶときも、僕は常にただ一人である。友人と一緒になる場合は、極く稀れに特別の例外でしかない。多くの人は、仲間と一緒の方を楽しむらしい。ただ僕だけが変人であり、一人の自由と気まま勝手を楽しむのである。だがそれだけまた友が恋しく、稀れに懐かしい友人と逢った時など、恋人のように嬉しく離れがたい。「常に孤独で居る人間は、稀れに逢う友人との会合を、さながら宴会のように嬉しがる」とニイチェが云ってるのは真理である。つまりよく考えて見れば、僕も決して交際嫌いというわけではない。ただ多くの一般の人々は、僕の変人である性格を理解してくれないので、こちらで自分を仮装したり、警戒したり、絶えず神経を使ったりして、社交そのものが煩わしく、窮屈に感じられるからである。僕は好んで洞窟に棲んでるのではない。むしろ孤独を強いられて居るのである。
・・・気持ちはわからなくもないけれど、それにしても大変だったろうなあ。それが今では立派な銅像になっているのだから、わからないもので。
日が明けて文学館へ向かいます。ここは主に萩原朔太郎についての解説が行われています。同時に、「月に吠える」と「月に吠えらんねえ」の企画展も行われていました。
僕は、別に朔太郎のファンというわけではありませんでした。漫画「月に吠えらんねえ」を読んで興味をもち、もともと近代詩の父と言われているだけあり、「いったいどこがそんなにいいんだべか」と、じっくり読んでみた次第です。
ここで気に入った作品どうこうを語っても薄ら寒いだけですので避けますが、結果として朔太郎が好きになりました。チョロいもんです。
しかし、朔太郎はイケメンですねえ・・・。そしてボンボン。さらに、我らが先輩石川一くんと交友があった。一くんと時代を共にした明星が、またカッコいいんだ。
(こちらのブログより、画像を拝借致しました。明星の表紙について書いてて面白いです。)
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文学館は、平日の午前中ということもあり空いていました。係員の方がまた至極丁寧で、「映像作品は観たくなったら言ってくださいね。いつでも流しますので」と優しい。いくつか質問をすると、ちゃんと資料を出して受け答えしてくれました。
さて、前の明星に
この恋よ、乱れて末は知らなくに、おどろにまとふ紅づたのごと
があります。これは中学時代の朔太郎の作品らしいのですが、このとき彼は初恋のひとがいたそうで。相手は妹の友達・エレナ(仲子)だとされていますが、彼女と逢瀬を重ねた場所が、喫茶「坡宜亭(はぎてい)」だといわれています(嶋岡 1980)。
当時としては遊び心満載の喫茶だったようで(参考)、土手沿いに建つ3階建て。土手から2階に直接入ることができたそうです。
文学館のボランティア解説員の方に教えられた場所に行ってみますと、当時の建物はすでに無く、
土手から見たらこのようになっていました。
今は子供の遊園地のようになっているのですね。管理事務所(写真内ピンクと緑の建物)のところが、坡宜亭のあった場所らしいです。ここが、朔太郎にとっての甘酸っぱい場所だったのでしょうねえ・・・。朔太郎が、家や学校からこの場所へ、どんな気持ちで歩いて向かっていたかを考えるともう、こっちの耳まで熱くなります。
その昔 身をすりよせて君と我と よく泣き濡れし坡宜亭の窓
(1913)
結局初恋の相手とは成就せず。しかしてこれでは終わらない。
中学から10年後の1914年、エレナも結婚して子供がいる時分。朔太郎とエレナは久しぶりに会ったようです。(大人ってやつはよう)
この時期の彼の詩「再会」「月蝕皆既」「晩景」などではそれぞれ、エレナとイチャついた様子がみてとれます。さらに彼は、エレナの家まで赴いて呼び出すも顔を見せてくれないことに腹を立て、バーでヤケ酒を喰らってからもう一度家まで向かい、今度はエレナの旦那が登場したので、そそくさと帰って激しく後悔しています。(嶋岡1980)
当時の北原白秋宛の書簡に、別のバーで飲んだくれて書いた文章が残っています。
すこし酔って来ました
よってくると女がほしくなる
たまらなく女がほしくなる
ああ、だれかただでやらせる女は居ないかな。金が三十五銭しか財布にない
(中略)
僕はよっぱらってエラクなる、京子なんぞたたきつぶせ、エレナを暗殺しろ、
おれは浅間山のてっぺんへ馳けあがってそこから手を上げる、感動電気の作用で、市中の娘たちがおれのほうへ引き上げられる、そうすると僕はすてきにハッピイナになるんです、すみません、すみません、
BARの一隅にて、 さくたろ、
このあたりのストーリーで、朔太郎が好きになりました。どんな偉人でも、人間らしいところを感じると共感できますよねえ。。。
一くんも、仕事に行きたくないがために乳首を切り落とそうとして失敗などしていますが、当時の詩人はやはり変わった人たちだったのでしょうかね。また、cpa氏も常々言っていますが、お偉方の葛藤やその時々の考えなど、もっと知りたいものです。
ちなみに坡宜亭のすぐ近くに、朔太郎が結婚式を挙げた臨江閣があります。
朔太郎の最初の結婚から二度目の結婚までのお話も面白そうなのですが、ひとまず。
***
そんなこんなで、坡宜亭で朔太郎の初恋をフンフンと覗き見して帰ってきました。また時間があれば、今度は朔太郎の散歩コースやら、東京での住まいやらをストーカーしてみたいものです。
(追記1)朔太郎の娘・萩原葉子氏の文章「父・萩原朔太郎」が昔の新潮にのっているということで、図書館にあるべかな、と探したらありました。図書館すげえ。
1959年の新潮だったか。三島由紀夫とかが連載しててすげえ。
この広告の時代感よ。いとおしいぜ。暇かよ。
(追記2)最近は地味に色んなことが身のまわりに起こっているもので興奮するのですが、非モテの悲哀が示す通り、誰彼言える内容でもないのでここで吐露したいのですがあまり咀嚼できていないことも多く(誰も見てないので拘ることもないのですがね)。酒の席で僕がうだうだ言い始めたら、どうか優しく聞いてあげてください。拝
煙草・親父・サウナ
「なんでこんな時期に禁煙するんですか。」
研究室で最も尊敬する後輩SW氏に言われた。彼に言われたらぐうの音も出ない。云わんとすることは、
「このくそ忙しい時期に、生産性の落ちることをするんじゃない。」
ということで、僕の禁煙は三日で幕を閉じた。
***
数年前アメリカで、とある人権運動のデモに参加した。彼の地は基本的に禁煙のイメージだが、屋外の喫煙所はかなり充実している。むしろ、外ならどこでも吸っていいだろうみたいな雰囲気もあり、あまりマナーはよくない。
さて、このデモ隊はいくつかの国で構成されていた。デモに参加するような輩は富裕層ではないので、当然ホテルも似たり寄ったり、ワシントンの郊外に固まることになる。僕もその一人で、ハイウェイの土埃で外が見えないようなホテルに泊まった。
ホテルの喫煙所は中庭に一か所。目立たない灰皿とボロいパラソルが設置されている。そして備え付けのベンチにはいつも、小太りで、禿げかかった長髪の、けだるそうな東洋人が座っていた。早朝でも深夜でも、彼はかならずそこに居た。
当然なんども顔を合わせるので、カタコトで会話を交わす。話し相手で国籍が変わる怪しい親父だったが、こっちも暇なのでとりとめもない話をしていた。
彼は僕に慣れてくると、毎度毎度「煙草を一本くれないか」とせがむようになった。煙草の遣り取りは、いわゆるタバコミニケーションの代表格なのでポンポンあげていたが、三日も四日も続くとこっちも辛い。外国での日本たばこは貴重なのだ。
「手持ちの煙草がもう無いから、これで最後だ」と言ったときの、彼の恨めしそうな目。ぼさぼさの前髪の隙間からギョロ目が覗き、じいっと僕を睨みつけてきた。そのまま襲われそうな錯覚に陥り、怖くてホテルの喫煙所では煙草が吸えなくなってしまった。
***
先日ホームサウナで、いつものセッティングを楽しんでいた。サウナ・水風呂を3セットこなして、水風呂の脇のベンチに深く座る。来る昇天に向けて呼吸を整え、目を瞑る。
目を瞑っていても、目の前を人が行き来するのはなんとなくわかる。
僕の正面でピタッと誰かが停まり、なかなか動かない。薄目を開けると、僕のヒザ先1mあたりに、こっちをガン見している小太りの親父が立っている。動揺してすぐ目をそらすも、どこかで見た顔だと思ってもう一度見ると、アメリカの煙草クレクレ親父がこっちを凝視しているじゃありませんか。
当時の恐怖がぶわっと湧き出し、その日はサウナどころではなくなってしまった。
***
という鼻くそのような恐怖体験だった。件のサウナ親父は、通りすがりのただの同性愛者なのだろうけど、あまりにも似すぎていた。
ひさしぶりにブログを書くので、メモ代わりに、新しく行ったサウナをば。
〇 極楽湯名取店 名取市の極楽湯。極楽湯グループは安心できる。安いし。
〇 とぽす 仙台に新しくできたサウナ。訪問時は、できて半年も経っていない新品つやつや。
〇 ニューウィング 錦糸町で着物メンとのサウナミーティング。力士と水風呂となった。ちょうど、話題のエアコンを水風呂に備え付けているところだった。
〇 長野県松本の浅間温泉街。サウナでないけど正統派温泉たっぷり。味わい深い建物多数。もちろんサウナ付きの銭湯もあり。
〇 パークプラザ大宮 大宮の老舗サウナ。中温サウナの向こうに高温サウナがある、室温が逃げない設計。
〇 ルーマプラザ京都 京都の繁華街(祇園四条)ど真ん中。思ったほど外国人は居なかった。
〇 おふろカフェ 籠原駅(熊谷)のちかく。従来のスーパー銭湯とは異なり、かなりお洒落。カップル多し。
〇 黄金の湯館 伊香保温泉。サウナはあるものの水風呂はなし。温泉街はかなり好き。
湯楽の里土浦店
2年前の猛暑、自転車が壊れたので直しに行ったときのこと。
駅近くのシルバー人材センターで安く直せるらしく、照りつける太陽に顔をしかめながら、ダラダラ汗を流して自転車をおしていった。
シルバーセンターに着くと、炎天下の中しゃがんで自転車を直す初老の男性。
わ「すいません、自転車のチェーンを直してもらいたいのですが」
男性「はい。はい。」
言葉少なに、ぼくの自転車をまじまじと見つめている。量販店で買った安物のママチャリだ。
男性「これは、スポークが何本か曲がっているね」
わ「・・・荒い乗り方をしているもので。すいません。」
男性「いや、男の子は元気いっぱい自転車に乗るものだ。悪いことじゃないさ。」
ぽかんとしてしまった。ようやく、"男の子"が自分を指していることに気づく。嬉しさと恥ずかしさがこみ上げる。
わ「あ、いや、あ」
男性「そのかわり、スポークは高いんだよね。3000円しちゃうよ」と笑顔。
10年ぶりくらいに、優しく子供扱いされて嬉しかった。
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先日のバイト中。閉店に伴い掃除支度をしていると、後ろから「爺じ」と声がする。
わ「ん、だれのことですか」
AI(2歳年上)「爺じのことだよ爺じ」
わ「・・・」
此の女・・・シャイだナンだと言っていたくせにズケズケ言ってきよる・・・
S木「そうだよ爺じ」
わ「いや、S木さんはもう40手前じゃないすか」
S木「年齢は関係ないよ爺じ」
鼻垂れ坊S「あははは」
冗談とはわかっていても、面と向かって爺じと言われると結構ショックだった。髭剃ろう。
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閉店作業を終えるとサト氏が来訪。
サト「サウナいこうぜ」
わ「うい」
彼は最近サウナにハマりつつある。もう一押しで、サウナの魅力に落ちる(はず)。
ともに湯楽の里土浦店へ。
土日なので入浴料は高いが、それでも790円。
近況を語りながらだらだら湯に浸かり、汗をかいてきたあたりでサウナへ。サト氏もタイミングをずらして入室してくる。ここのサウナは高温多湿。汗が吹き出しやすい良いサウナだ。
退室し、汗を流して水風呂に浸かっていると、火照ったサト氏登場。もう、彼も迷わず水風呂へ入るようになった。目を閉じてじっとしている彼を見て、若干嬉しくなる。
二人で露天スペースへ。ゲームの話をしながら、ぬるくなった外気を楽しむ。これから、外気浴がどんどん気持ちよくなる季節だ。
サウナ2周目。水風呂を経て外に出て、サト氏は寝湯に横たわる。口を軽く開け、完全に昇天のご様子。しめしめ。
お互いのペースでその後のサウナを楽しみ、ぼくも寝湯で爆睡し、退店。
わ「サウナ、どうでした」
サト「わかったわ。これは気持ちいいね」
サウナ仲間ができた。嬉しい。
これから5月にかけて、外が暖かくなってくる。この時期の外気浴も最高だ。春の土臭い空気は、今しか楽しめない。
(追記)
2-3月のサウナをいくつか挙げる。自分用の備忘録。
筑波山にある数少ない温泉。サウナ室はまずまずだが、水風呂は激冷え。たぶん15度以下。しかもただの水道水ではないようで、塩素臭もなく、やわらかい水質。外気浴スペースもあり、空気も清らかでおすすめ。
もはや鉄板のサウナ。Wタ氏が東京最後ということで、彼の引越しを手伝い、二人で最後のサウナミーティングと相成った。彼もまた、サウナを愛する一人だった。
すこし寂しいのだけど、次は地元で一緒に入りたい。教えてもらったラーメン屋も、すごい美味しかった。
YBNさんが早割で予約してくれたおかげで、比較的安く星野リゾートを満喫できた。大浴場にはサウナがあり、もちろん水風呂も。サウナ温度は若干低かったが、水風呂と温泉の組み合わせで◎
今年度は何回サウナにいけるだろうか。楽しみだ。
「良いサウナ」とは(2)
「良いサウナ」とは:日本サウナ総研のツイートから(2)
ということで、ブログだから好き勝手に前置きを書いたけれども、この記事では日本サウナ総研さんの調査員方が日々報告しているツイートから読み取れる「良いサウナ」をあぶり出してみたいと思う。
先にハイライトを示しておくと
- 東京・神奈川を中心とした全国の良いサウナをリストアップすることができた
- 水風呂の温度が低いと、満足度を高めるようだ
***************************
日本サウナ総研の調査員さんは、ツイッターを媒介にして、サウナの情報を流してくれている。たとえば以下のツイートのように報告してくれている。
【サウナセンター大泉 鶯谷】▲と◯の間
— 日本サウナ総研 (@sauna_soken) 2017年4月2日
4/1(土)曇入14:30出16:00普通3段目奥 94℃(表示)輻射強 並湿 換気並 水13℃(表示)水位腿 循環良 溢れ 拡散無 塩素臭無 外気浴無 座
<一言>水冷たく開いた扉からの冷外気に魂解放 室内の悪臭が気になる(ホリック) pic.twitter.com/HM1CNwThcY
このように、決まったフォーマットの情報を流してくれている。決まったフォーマットは、だいたい次の通り:
【サウナ名(場所)】◎ ◯ ▲ △ ×
— 日本サウナ総研 (@sauna_soken) 2016年9月23日
9/23(金) 晴・曇・雨
入24:00 出25:00
がら空き・空き・普通・混・激混・満員
1段目 2段目… 手前 真ん中 奥
頭◯℃ 足◯℃ (表示) (体感)
輻射熱 痛い・強い・普通・優し・弱い
極湿・高湿・中湿・湿・普通・乾・極乾
— 日本サウナ総研 (@sauna_soken) 2016年9月23日
換気 優・良・可・悪
水◯℃ (表示) (体感) 水深 膝・腿
循環 優・良・可・悪
溢れ無し・あり
大拡散・拡散あり・さざ波・無し
塩素臭 あり・少・無し
外気浴 座・寝、強風・そよ風・無風
〈一言〉〜〜〜
(サウナネーム)
この様式に従って、今のところ12人のレポーターたちが報告をしてくださっている(本当にありがとうございます)。レポーターらは生粋のサウナ愛好家であるため、彼らの動向を知ることは、良いサウナを知る上では有用だろう。
このツイート報告は2016年7月20日から続いており、2017年4月3日までの報告数は504。*1 この報告例を使って、諸先輩方の知見をすこし纏めてみよう、というのがこの記事の主たるところ。
さて、ここで個人的に気になる「良いサウナ」の条件は
サウナ温度と水風呂温度の差が大きいほど満足度が高いのか?
ついでにこの関心も検証してみたいと思う。まずこの記事では、簡単な結果だけ報告する。導出方法に関するあれこれや問題点は次の機会に。
〇 報告されているサウナ
日本サウナ総研で報告されているサウナは、ほとんどが関東圏に偏っている(表1)。
報告のほとんどは、東京・神奈川に集中している。東京・神奈川で報告されたサウナは、表2の90施設だった。
日本サウナ総研の熟練のサウナ愛好家たちが、どのサウナが好きかが見えてくると思う。アダムアンドイブ,オリエンタル,VIVI,レスタなどはやはり投稿数が多いだけあって、良い施設だということが伺える。
ちなみに、東京・神奈川に全部でどれだけのサウナがあるのか把握してないが、タウンページに載っているのは151施設。それらと、報告サウナを地図に落としてみると下のような感じになった。
ここでは、+がタウンページのサウナ、●が報告サウナをそれぞれ示している。パッと見で、西東京のサウナ報告が少ないようなので、発掘のしがいがありそうだ。
もちろん、タウンページ以外にもいろんな情報を参考にすれば、もっと多くのサウナ施設が存在しているはずだけど、今回はひとまずの結果、ということでご容赦を。これらの結果からわかるのは、通勤圏などに多くサウナが集中していそうなこと、だろうか。(この偏りが本当かどうかは、電車の乗降客数とか使っていつか確かめてみたいので今後の楽しみということで。)
〇サウナ温度と水温が満足度にもたらす影響
上記のようなサウナ・リストを作れただけで、ぼくにとっては、日本サウナ総研の調査員のみなさんに感謝しきれないくらいありがたいことです。しかし、日本サウナ総研ツイートには様々な情報がせっかく載っている。ここではサウナ温度と水風呂の温度が、満足度にもたらす影響をざっくり考えてみたい。
まず、サウナの温度はだいたいどれくらいなのだろう。ざっくりした分布は以下の通り。
縦軸は密度(多さ),横軸はサウナ温度を表している。だいたい100~110度のサウナが多そうだ。
水風呂の温度も同じようにみてみると、
こちらでは、15度の水風呂が圧倒的に多いようだ。
サウナ温度、水風呂温度やほかの項目をざっくりまとめると、表3のようになった。
Dとついてるやつは、「~かどうか」と解釈してください。たとえば、晴天Dは晴天時だったかどうか。その割合は65.3%。外気浴無Dでは、外気浴が無い割合が26.6%。表3からは、サウナ温度の平均は93.82度, 水温は16.31度ということがみてとれる。
改めて、日本サウナ総研のツイートでは、サウナの満足度が◎ ◯ ▲ △ ×の5段階で評価されているので、上から順に5,4,3,2,1と割り当てる。
サウナ温度と満足度の記述を散布図で概観してみると
縦軸は1-5評価、横軸はサウナ温度。ここでは目立った相関は無いように見える。
水風呂も同じようにみてみると以下の通り。
ここでは若干、水風呂の温度が低いと満足度4,5に偏っていくようにみえる。
しかし、サウナに満足するかどうかなんて、サウナ温度と水風呂温度以外にもいろいろ左右されるもので。これらを均して、サウナ温度・水風呂温度だけの影響をみてみたいと思ったら、みんな大好き回帰分析の登場である*2
これをやってみた結果は、以下の通りでした:
- 温度差(サウナ温度ー水風呂温度)は、満足度に影響する。
- どっちの影響が大きいのか?サウナ温度・水風呂温度別々の影響度をみてみると、サウナ温度は満足度に影響しない。
- 一方、水風呂温度は影響している。水風呂の温度が低くなると、満足度の〇および◎を選択する確率が高くなる。
- したがって、水風呂の温度に敏感に反応していそうである。
一応の結果は載せておきますが*3、この推定量はものすごい問題を含んでいることを強調しておきます。ただ、私の興味を満たすにはよきエクササイズでした。
今回の日本サウナ総研さんのツイートをまとめてみて得られた知見は以下の2点:
- 東京・神奈川を中心とした全国の良いサウナをリストアップすることができた
- 水風呂の温度が低いと、満足度を高めるようだ
いい機会になったので、このブログでサウナの歴史やら動向もまとめていけたらなあと思う(ぼくの日記的な記事ばかりでは、あまり内容も意味をもたないですし)。推定量の導出については気が向いたら書きますが、もしかしたら実名ホームページのほうで書き下すかもしれません。
ひとまず、この記事がどこかのサウナ愛好家に少しでも貢献できたら、と願っています。
*1:1つのツイートで2つのサウナについて報告していたら、2つとカウントとしています
*2:直観的に回帰式を書き下すと
ここでSaunaはサウナ温度,Waterは水風呂温度。Xはそれ以外の要素(天気、輻射熱、湿度、換気、水位、循環、塩素臭、外気浴、サウナ固定効果、報告者固定効果)をひとまとめに書いちゃったやつ。このXを入れることで、「X内の諸要素が同一状況のときに、サウナ温度、水風呂温度が与える影響がどのくらいの大きさなのか」をある程度俯瞰することができる、と解釈なすってください。
パネルAは式1,パネルBは式2の結果。yは序数なので、二通りの推定方法を示しています。Linear Probability Model(LPM)は最小二乗法で,Ordered logitは最尤法で推定しています。LPMはあくまでも比較(概観)用です。共変量,報告者FE, サウナFEは式の変数Xに相当します。雑な表記ですがどうかご容赦を。詳しい解釈は、いつか導出方法と一緒に書きます。
この推定量は、どれだけ間違っているかを書き下したうえでやっと少し意味を持つ数字なので、いまのところ安心感ゼロです(なんか恥ずかしくなってきた)。
「良いサウナ」とは(1)
「良いサウナ」とは:日本サウナ総研のツイートから(1)*1
昨今、ひそかなサウナ・ブームが日本に舞い降りている。それはたとえば、テレビの露出やムック本で取り上げられてることからも、感じられると思う。
かつてこのブログでも触れたが、タナカカツキ氏は的確な表現を残している:
サウナは副作用のないドラッグだという人がいるが
サウナには強烈な依存という副作用があると思う
サウナには「ととのう」という概念がある。この「ととのう」体験をすると、それまでのサウナ観が一変される*2。「ととのう」概念を踏まえてサウナを紹介するときの文句として、うだ氏のツイートを紹介したい:
サウナを説明するにあたり
— うだ(日々是サウナ) (@shiruu) 2017年3月21日
水風呂との温冷交代浴によって発汗と血流を促し、自律神経、内分泌、免疫器官の刺激から体内の恒常性を発揮させ、生活習慣病の改善、ストレス解消、美容に効果があります!で通じることもあれば
宇宙と交信できる、悟りを開く、これは哲学なのだ!で通じることもあります。
サウナの楽しみを一度味わうと、「もっとすごい世界があるのでは」と思わずにはいられないものだ。
現に、サウナ愛好家の人口は日本サウナ総研のレポートによれば2600万人ともいわれ、週1回でサウナに入る人は約350万人らしい(ネット調査なので、この推計は鵜呑みにすべきではないけれど、一つの指標として)。サウナ愛好家は、思ったよりも多く、そこかしこを闊歩しているようで。
サウナを備える施設も全国各地に存在している。サウナの歴史自体は大変古く、発祥は紀元前におよぶらしいが、現在のようなサウナ施設が日本に広まり始めたのはここ50年ほどだ。オリンピックを契機に健康ランドが普及し始め*3、その後、健康ランドよりお手軽な立場としてスーパー銭湯が市民権を得た*4。(サウナの歴史も面白いのだけど、今回の主旨には合わないから、またどこかで)。
この半世紀で数を増やしてきたサウナ施設は、もちろんその中身も多種多様。さらには近年、アウフグース(一般的にロウリュの名前で通っている)をはじめとした”サウナに特化した”差別化が進んできている。サウナ愛好家にとっては、この上ない幸せな時代かも知れない。
さて、ここで多くの人(少なくともサウナ愛好家たち)にとっての関心事は「どこのサウナが良いのか」である。サウナ愛好家たちは、仕事や家族サービスの合間を縫って、自分にとってのベストサウナを求めて日々さまよい歩いている。
自分にとってのベストサウナを探すということは、良いサウナ・悪いサウナが判断できる、ということ。良いサウナ・悪いサウナの区別がつくということは、サウナに関する自分なりのこだわりを(無意識的にであれ)自覚していることになる。
このとき、たとえば主な関心は以下の2点だと思う:
①サウナで気持ち良くなる仕組み(温冷浴と人間の身体)
②自分はサウナ施設のどの点を重視しているか(例:施設の清潔さ、サウナの温度)。
よい施設を選別するとき、「①サウナで気持ち良くなる仕組み」に基づいた施設であればあるほど、昇天しやすくなるだろうと考えられる。ほうぼうでサウナの効用を謳っているが、サウナ(温冷浴)でぼくらが気持ち良くなる仕組みのキーワードは、どうやら「発汗」「自律神経の訓練」らしい。*5しかして、メカニズムは専門家しか理解できないし、そこまで深く踏み込む時間もない(正直その時間もサウナにあてたい)。
そこで、「身体の仕組みに基づいた、気持ちよくなりやすい」施設を、僕たちは経験的に探していくことになる。これはサウナ愛好家のサウナ探索という大変趣深い行為なのだが、これが「②自分はサウナ施設のどの点を重視しているか」の話になる。サウナのどの点が自分にとって大事かは、結局のところ個人の好みに依るところが大きい。ただ、個人の好みでも万人に共通する項目はあるもので、「他の人がどのサウナを愛用しているか」という情報は、ぼくたちに多くの知見を与えてくれるものだ。
サウナについての情報を発信しているものはたくさんある。インターネットで得られる情報は、例えば以下のものがある:
- 日本サウナ総研(twitter):今回の記事のメインデータソース
- サウナ王(twitter)
- 湯守日記
- Saunaで数えるOneからThousand:Google mapのサウナマップがすこぶる役に立つ。
- 俺のサウナ
- 東京銭湯 湯気どころ
- サウナマスター「大阪サウナ風呂」
- 安宿宿泊のススメ
- サウナの教科書(ムック本)
- マンガ「サ道」巻末付録:インターネットでは読めないけど、是非ともおすすめしたい。
これらの情報は眺めているだけでも、うっとりするようなレポートの数々だが、このまま情報量が溢れていくと杯盤狼藉の体を成すことは目に見えていて、とても全てを参考にすることはできない。そこで、情報集約的な(自分なりの)まとめかたを試みようと思う。
(つづく)
*1:この記事は、日本サウナ総研さんのツイート情報をもとに、どのサウナがよいか、管理人が好き勝手にまとめてみよう、という趣旨のものです。ブログ記事の正確さはなるたけ高くありたいと思っていますが、無論ブログなのでツイッターとか引用して好き勝手書いています。文中の誤りのすべては管理人の責任です。
*2:興味ある方は上述したタナカカツキ氏のマンガ サ道の第一話だけでも読んでもらいたい。この「ととのう」理由は、温冷浴時の成長ホルモン(主にプロラクチン),β-エンドルフィンの血中濃度が上昇するためらしい(Kukkonen-Harjula et al. 1989など)。まったく専門外なので理解はしてないが、どちらも脳に快感をもたらす作用(たとえば性行為・出産時から自傷癖もちの自傷直後までさまざま)があるようで、そういった物質の濃度がサウナで高くなるんだなあ,という素直な感想。というかこんなことをわざわざ計測するとか医学の懐深すぎ。
*3:出典:株式会社千代田の沿革,SAUNA 2004年8月号(日本サウナ協会) 注:日本における「蒸し風呂」の歴史を鑑みると、SAUNA文中の表記「日本初のサウナ」は、現在の形のサウナのことだろう。まあ、細かいことか。ちなみに、日本サウナ協会の新聞はバックナンバーの一部がpdfで公開されており、スパ業界の動向や情熱が伝わってくる。
*4:出典:プレジデント・オンライン記事2009, 玉岡設計のウェブサイト
*5:「サウナ読本」(サウナ・スパ協会),「医学的効能」(サウナ攻略サイト).いずれの情報も出典に弱いので、「ほんとうか?」と思うことはあるけど、わかりやすく纏めてくれている。ただ、こうした商業的記事は悪い部分や細かい点は載らないことも多い。んで、学術記事を探してみると、Clinical Educationの記事に、サウナ療法が有用なメカニズムが医学的に指摘されていた。まあ、医学はさっぱりわからないのだけど、ここでは「お医者さんがサウナの効果を研究している」という事実だけで十分面白い。さらに面白いことに、フィンランドの研究者は「サウナが突然死のリスクを下げる」ことを明らかにしている(日本語解説記事)。サウナに関する効能とリスクについてのLiterature reviewはKukkonen-Harjula and Kauppinen (2006)、サウナの死亡例についてはKenttamies and karkola (2008)。前者は公衆衛生のジャーナル、後者は医学誌(専門用語多くて理解不可)。もっと掘れば面白いの出てくるだろうし、いつかまとめてみたい。